YS横浜。J3のどん底から。

Text 金子悟 / Satoru Kaneko

「どうして勝てないのか。」選手たちの内なる声が聞こえてくるようだった。

 コロナ禍で迎えた2020年明治安田生命J3リーグ。Y.S.C.C.横浜は、わずか5勝に終わった。

 チームとして目指すプレーができない試合が続いた。問題は技術か戦術か。また、3カ月の開幕戦延期の影響で過密日程となった今季。選手たちの身体的、メンタル的なリカバリーも十分に行えないまま、次の試合はすぐにやってきた。自ずと負傷離脱する選手も増え、チーム状況の好転は困難を極めた。

 それでも、目指すプレーに近づくためコミュニケーションを重ねた。日々のトレーニングで、共有したイメージを体に落とし込む。うまく行かなければ、何回でもやり直す。次こそは勝利を。

 最終節。18試合ぶりにつかんだ勝利。試行錯誤を重ね、勝利を追い求めた選手、スタッフ、トレーナー全員でつかんだ勝利だった。

 J3のどん底を味わった。しかし一方で、勝利の重みを他のどのチームよりも知ることとなった2020年シーズンのY.S.C.C.横浜。その重みを胸に、これからも彼らの挑戦は続いていく。

Photo 金子悟 / Satoru Kaneko

金子悟(かねこさとる)1974年、横浜市生まれ。
早稲田大学芸術学校空間映像科卒。卒業後、フリーランスとしてサッカーの撮影を開始。FIFA女子ワールドカップは、なでしこジャパンが初優勝したドイツ2011大会を皮切りに、3大会連続取材中。現在は、Jリーグオフィシャルカメラマン、Y.S.C.C.横浜クラブオフィシャルカメラマンを務めるなど、男女・年代を問わずあらゆるカテゴリーを取材。日本スポーツプレス協会(AJPS)・国際スポーツプレス協会(AIPS)会員。