女子プロレスSTARDOM『髪やマスクの影響』

2021年3月3日 林下詩美-上谷沙弥
2021年2月6日 ウナギ・サヤカ-ジュリア
2021年2月6日 レディ・C-飯田沙耶
2021年2月13日 スターライト・キッド
2021年2月21日 小波
2021年2月14日 ひめか-ビー・プレストリー
2021年1月17日 林下詩美

 

 感情と躍動感。観客にとっても、カメラマンにとっても、それらはプロレスの試合で欠かせないものだ。

 

 男子のプロレスと女子のプロレスとの違いは色々ある。体の大きさや柔らかさの違いが技の見た目や印象を大きく変えるだけでなく、選手がコスチュームのどこに拘るのか、ということも違う。

 

 髪型も大きな違いだ。

 男子は顔が常に全て見えている選手が多く、観客は目の見開き方や頬の筋肉の動きなどの細かい部分まで全てを見ることができる。もちろん、それは感情がストレートに伝わってきやすいことに繋がってくる。

 女子は髪が顔を隠してしまうことが多い。良いシーンで顔が見えない、というカメラマン泣かせな場合もあるが、魅力を引き立ててくれる場合も多くある。

 感情や躍動感を表してくれる要素として、髪が大きな役割を果たしてくれる。写真でも同じだ。

 髪で隠れてしまっている隙間から覗く目は、見えにくいものだからこそ見る人の目を引きつける。観客は垣間見える喜怒哀楽や狂気について、全体を見て100%を知るのではなく、顔が全て見えているわけではないためにごく一部からだけでその全てを推し測ろうとする。そうすると、それぞれの受け手が自分の中で最大限に振り切った時の感情として受け取ることになるから、強烈なものとして伝わってくることになる。マスクを被っている選手にも同じことが言える。

 感情以外では、髪のおかげで技の勢いをより感じられるだけでなく、髪が動いていることによって一瞬を切り取った静止画であってもそれがどういう動きの途中なのかを見る人がイメージしやすくなる。

 

 感情が強く伝わり躍動感も出るが、残念ながら完全に見えなかった、という時もある。女子プロレスの撮影は、一瞬を逃せない、という写真本来の魅力を感じることができる、カメラマンとしても面白い現場だ。

 


撮影・文:原壮史

1987年東京都生まれ。明大卒。

中学年の2002年からプロレスを、高校に進学した2003年からサッカーJリーグの取材を開始。以後、フリーランスのフォトグラファーとして、サッカーとプロレス・格闘技を中心に活動中。

海外での取材は、アジアカップ2015/2019EURO2008/2012/2016など。

日本スポーツプレス協会(AJPS)会員、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員。