カンボジア・BTV(バイヨンテレビ)在籍ジャーナリストとの交流

AJPSでは、カンボジア在住の石川正頼会員(2019年入会)が橋渡し役となり、同国でスポーツジャーナリストの団体設立を目指す方々とのご縁をいただき、今回外務省の外国報道関係者招へい事業によって来日した、BTV(バイヨンテレビ)に在籍するジャーナリストの皆様と交流する機会を持つことができました。

今回の訪日にあたり、全行程に同行した石川会員からの寄稿を掲載します。(総務理事・小城崇史)

参考URL:外務省・外国報道関係者招へい事業

 

東京2020大会のメイン会場となった国立競技場を視察するBTVスタッフ 撮影:石川正頼
味の素国立トレーニングセンターを視察するBTVスタッフ 撮影:石川正頼
2月27日来日直後に行われたAJPSとの対面インタビュー 撮影:中西祐介
対面インタビューに参加したメンバーの記念写真 撮影:中西祐介

 

 

『バイヨンテレビからの寄稿文』

日本との外交関係樹立70周年を迎える本年、カンボジアはSEAGAMES2023(東南アジア競技会)とPARAGAMES(東南アジア障害者競技会)を開催します。カンボジアは1953年にフランスから独立を果たしましたが、1970年代のインドシナ半島情勢不安に巻き込まれる形で国土の荒廃とその後の内戦を経験し、その間に多くのアスリートと指導者が命を落としました。

その後日本をはじめとする国際社会の支援を得て、今日は開発の段階へと駒を進めています。困難な時を過ごしたカンボジアにとって、SEAGAMES2023のような国際的なスポーツイベントの開催は多くの国民にとって悲願であり、憧れでした。

両大会は「SPORT LIVE IN PEACE」をスローガンに掲げております。このスローガンはカンボジア国民にとってのスポーツを最も適切に表したものだと考えています。

このような歴史を背景に迎える両大会を成功に導くために、日本の優れたスポーツ振興政策とスポーツ報道を学ぶこと目的として、私たちバイヨンテレビは日本外務省の外国人記者招聘予算をいただき、2月27日から3月7日まで東京を中心に取材活動を行いました。

SEAGAMES2023の成功に向けて、官民問わず協力すると岸田内閣総理大臣からフンセン首相に対してお約束をいただいたこともあり、スポーツ振興政策については室伏広治スポーツ庁長官、橋本聖子東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員長へのインタビューを主として、東京2020のメイン会場となった国立競技場や味の素国立トレーニングセンターなど日本のスポーツ振興政策を様々な視点から取材させていただきました。

そしてもう1つのテーマであるスポーツ報道については、Jリーグの中継体制など日本の報道技術についての取材活動に加えて、カンボジアのスポーツ報道分野で最も活発に活動するスポーツ記者を多数抱えるバイヨンテレビとして、AJPSとの関係構築は大きな目的の一つでした。

SEAGAMES2023を目前にしてスポーツ報道に向けられる国民の期待と要求も日々大きくなっておりますが、先述した理由などもあり、同分野の開発は初期段階にあります。国民の期待に応えるためには、記者個人の質の向上は言うまでもありませんが、ローカルスポーツ記者協会の設立と世界の潮流を知るための国際交流は今後の開発に欠かせない要素だと考えています。

AJPSは1976年に設立されましたが、設立時点で日本におけるスポーツ報道とそれに携わるスポーツ記者の社会的役割、責任は現在のカンボジアと変わらない状況だったと説明をいただきました。そこからスポーツ報道の社会的必要性を訴え、報道の質を追求し、第一線で活動を続け、今日に至っては日本のスポーツ報道は他国の手本となるまでに質の高いものとなり、世界で多くの知見を蓄えております。

その一端を今回の面談でご紹介いただけたことは、私たちカンボジアのスポーツ記者にとって大変貴重な学びの機会になりました。説明を受けて感じる両国の大きな違いは記者の雇用形態と活動領域、そして組織化の目的と背景にあると考えておりますが、開発のためには組織化が必要と言う認識に変わりはありません。

スポーツ報道を発展させていくために、今後も私たちカンボジア人スポーツ記者の有志にお力添えをいただけましたら幸いです。この度貴重なお時間をいただいたAJPSの小林洋会長、そして理事会の皆様、本当にありがとうございました。

貴会と日本のスポーツ界全体が今後も力強く発展していくことを心から願っております。

(記:石川正頼)

(撮影:石川正頼・中西祐介)