私はアルペンスキーにのめり込んだ大学4年間を、バブルの時代に過ごしました。
テレビで見ていたヨーロッパのアルペンスキーワールドカップの世界は、選手達の人間離れしたパフォーマンスに加え、東洋の島国では決して見ることのできない雄大で荘厳なヨーロッパアルプスが、同じ地球上に存在する世界だとは実感させてくれませんでした。
それから10数年、「私はその本当に存在するのか確信できない世界」に12年間通い続けています。
冬の訪れとともに毎年、思います。
「ああ、今年の冬も夢の世界へ行くのだ」と。
<著者・撮影者紹介> 田中慎一郎 (たなかしんいちろう)
1968年東京生まれ 学習院大学経済学部経済学科卒 東京ビジュアルアーツ写真学科中退 2001年よりフリーランスカメラマンとして活動2003年から本格的にアルペンスキーワールドカップを撮影。2015年現在、年間約40戦のうち、その70%をカバーする唯一の日本人フォトグラファーである。アルペンスキーの他は陸上競技、アマチュア野球、水泳が主な撮影対象。
個展:2006年銀座・梅田キヤノンギャラリー 「Alpine Ski World Cup」