「緊張感の中の囁き」 Photo 竹内里摩子

新体操を撮りはじめて36年目に突入した。

目の前で起こっている事に慣れてしまいスルーするのが一番の敵。よって、常に新鮮に感じるようにアンテナを張り続けて、角度を変え表現する視点を探る訳だが、最近のマイブームは<息遣い>である。

1分から1分30秒の間、決められた順序でオリジナルのプログラムを演技する彼女らだが、上位の選手ほど、手具(しゅぐ)のリボンやボールを愛おしそうに扱う余裕があり、表現力オーラも身体から滲み出てくる。

身体の一部の様に見える手具に語り掛けるエネルギーや込めた気持ちの息遣いを表現出来たらとシャッターをきっている。

簡単そうだが、ほんの一瞬の表情で、これがなかなか手強い。

それがかえって闘志を掻き立ててくれるから、これがまた楽しいのだ。

普段あたり前の事が、どんなに幸せな事なのかを感じている最近。

撮影出来ることへの感謝を込めて。

<著者・撮影者紹介> 竹内里摩子(たけうちりまこ)

1962年東京生れ。19歳から新体操を撮りはじめ、国内はもとより世界選手権・オリンピックまで撮影。日本スポーツプレス協会(AJPS)・国際スポーツプレス協会(AIPS)会員。